

JR松江駅前にあるビルの一角。今年(平成20年)、島根県が設けるソフト系IT産業を対象とした優遇制度の適用第1号として、バブ日立ソフト株式会社(本社広島県呉市)が研究・開発拠点を構えた。
柱となるのは、世界的に普及が広まるコンピュータプログラミング言語Rubyを核としたソフトウェア開発である。同社が松江市に進出を決めたのは、Ruby開発者まつもとゆきひろさんが在住し、関連技術者との交流ができる、という点にあった。
「地の利を自社製品開発に生かし、実績を早くつくりたい」と松江サテライトラボ所長の坂田真一さんは東奔西走の日々。会社が駅前に立地することから、本社との行き来にしても、営業で各地を回るにしても都合がよいという。
さらに、これまで覚えのない経験に「目からウロコ状態だ」という。それは、しまねOSS(オープン・ソース・ソフトウェア)協議会をはじめとしたコミュニティーへの参加だ。地場のシステム開発企業、島根大学、松江高専などの教育機関、島根県や松江市らが、オープンソースをベースとした地域コミュニティ像などについて議論を交わし、情報を交換し合う様は半端でない熱さだという。
初対面から真剣に語りはじめる人々、コミュニティーを媒介に広がる人脈、情報。その渦中に身を置き、ビジネスのソースを模索する坂田さんは、「ここでの経験は若い人たちにきっと大きな刺激となるはず。ですから、この地に進出される場合は、若いスタッフをそろえてこられるとよい、と思いますよ」という。
ふと、坂田さんはある夏の日を語ってくれた。「散歩の最中に、駅近くの商店街で天神さんのお祭りに偶然出会いましてね。その活気たるや、ほんとにすごくて、普段の静けさが嘘のよう。この町の人たちが秘めるものを垣間見た、そんな気がしましたね」。
自家用車を持たず単身赴任で暮らす坂田さんにとって、郊外店が多いこの町の暮らしは、少々、不便なのだそうだ。けれど、それはある意味、表面的なこと。「日本のオープン・ソースのメッカ」となるべく巻き起こるムーブメントは、新たなビジネスモデル誕生の礎となっていくであろう。
(取材場所:松江テルサ別館2階 バブ日立ソフト株式会社 中国事業所 松江サテライトラボ)
バブ日立ソフト株式会社 中国事業所 松江サテライトラボ 所長
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