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日本製紙株式会社(江津工場)
横町 彰一 氏
木材を完全利用し、日本の成長分野を担うセルロース製品を生産
東京都千代田区に本社を構える業界内屈指の大手製紙会社・日本製紙株式会社。中国地方最大の河川、江の川の河口に位置する同社の江津工場は、前身の会社から通算して約70年もの長きにわたり、島根県江津市内で操業し続けています。
江津市街地のどこからでも見える、紅白の高い煙突が江津工場のシンボルマーク。長年の間江津の地で、地域と共に発展を続けてきました。
江津工場の横町工場長に、全社における江津工場の特徴や、人材育成のための取り組みなどについて伺いました。
2021.1 取材木材を余すことなく「完全利用」する世界でも珍しい江津工場
- 御社の事業内容について、あらためて教えてください。
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弊社は社名のとおり、全社的には紙製造がメインの会社ではありますが、実は江津工場では紙は全く生産していません。では何を製造しているかというと、「紙用途ではないパルプ」を製造しています。例えば、衣類に使われるレーヨンやセロハンテープなどのセルロース製品の原料です。どれも見た目のイメージや質感から「紙と同じ木材を原料とする製品である」ということがあまり一般的に知られていませんが、実はいずれも木材から作られています。
ここ江津工場では、これらのセルロース製品の原料となるパルプのほか、木材からパルプを除いた残りの成分であるリグニンを原料とする製品を製造したり、木材に含まれる糖分を栄養として酵母を培養し動物用の飼料に利用したりと、木材を完全利用している世界でも珍しい工場です。
通常の製紙工場では、木材加工の際にパルプを取り出すと残るリグニンは工場の燃料として利用されることがほとんどですが、当工場ではそれをさらに別製品として活用している点が特徴です。北欧にはいくつかそのような工場があると聞いていますが、国内では唯一ここだけです。
木材チップから得られる3つの素材を完全利用
日本の成長分野で必要とされる製品を生み出す重要拠点
- 全社の中で江津工場はどのような役割を担っているのでしょうか。
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弊社には国内に13の製造工場がありますが、江津工場はその中でも成長分野を担う重要な拠点です。
主に生活関連製品の製造を担っており、電気自動車のリチウムイオンバッテリーに使われるカルボキシメチルセルロース(CMC)も江津工場で製造しています。この分野は今後の成長分野と言えます。
その他、木材由来の食品添加物の製造も行っています。セルロースは天然素材で環境に優しい原料であり、安心・安全な添加物として国内外で需要の高い製品です。さらに日本国内で製造されていることに対する品質への信頼性も高く、今後は海外での需要もより一層高まっていくことが予想されていて、こちらも成長が期待される分野です。
全社の中でも特に成長分野を担う江津工場
木材由来の食品添加物が支える身近な製品
- 「木材を原料とする食品添加物」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
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詳しい商品名は弊社のお客様の製品になるのでお伝えできませんが、皆さんが日頃コンビニエンスストアの店頭でよく目にされているようなお菓子や飲料、パン、スイーツなどにも当社で製造したセルロースやカルボキシメチルセルロース(CMC)が使われています。
よくお菓子のパッケージの裏に原材料名が書かれているでしょう。そこにはかなりの確率で「セルロース」あるいは「CMC」と書かれているはずで、それこそが当工場の主力製品のひとつです。名前からは想像がつきにくいですが、木材チップを原料とする天然素材で、要するに食物繊維ですから、口にしても安全です。具体的には、増粘剤や安定剤として使われることが多くあります。
木材チップから生まれる様々なセルロース製品
江の川の豊富な水資源と手厚い支援制度
- 島根県に立地すると、どのような点が強みだと感じておられますか。
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弊社の製品を製造するために水は欠かせませんが、取水している江の川は、水資源が豊富で、渇水の心配がありません。
それから、行政の手厚い補助金制度のおかげで設備投資がしやすい点は助かりますね。
そして、県による江津港の浚渫(しゅんせつ=港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂などを取り去る土木工事のこと)なども、生産活動をする上で大いに助かっています。
製紙業に欠かせない豊富な水資源を供給する江の川
山陰道の全線開通と浜田港からの航路の充実に期待
- 一方で、課題として感じている点にはどのようなものがありますか。
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公共交通機関の便があまり良くありません。東京との往来では出雲空港を利用することが多いですが、飛行機とJRの乗り継ぎの待ち時間が長いという不満が出張者から聞かれます。
物流面では、山陰道の早期全線開通に期待したいところです。浜田港からの航路の充実なども、要望として挙げさせていただいております。
アクセス面の今後の改善に期待
長く地元で働く人材を大切に――採用・育成・福利厚生
- 採用や人材育成、福利厚生についてのお考えを教えてください。
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やはり弊社に長く勤めていただける方を採用したいと考えています。島根の県民性なのでしょうか、このあたりで採用を行うと、地元の産業に携われることに誇りを持って仕事されている方が多いと感じますし、そのような想いを持ってくださる方と一緒に働きたいと思っております。経験者の方はぜひご応募いただきたいと思います。
現在は特に、メンテナンス部門で活躍いただける機械系・電気系の経験者の募集を強化中です。社名が「日本製紙」ですから紙だけを作っている会社だと思われがちですが、機械系エンジニアの採用も積極的に行っています。
育成面では、地域との繋がり、地元高校との繋がりを特に大切にしています。インターンシップの受け入れも積極的に行っています。おかげさまで新卒採用は比較的安定しています。
長く勤めてもらえる人を採用したい、と語る横町工場長 先ほど申し上げたとおり、「長く地元で働きたい」という方を求めていますので、地域との繋がり、地元高校との繋がりを特に大切にしていますし、インターンシップの受け入れも積極的に行っています。おかげさまで、新卒採用については比較的安定的に採用ができています。
育成面については、業務上必要なスキルを着実に伸ばしていただけるよう、社内研修も充実しておりますし、資格等を会社の費用で取得できる制度もあります。また、若手従業員の「国内留学制度」があり、昼間は弊社で通常の業務を行いながら、夜間は大学に通って専門教育を受けることも可能です。もちろん、その場合にかかる学費は会社が全面的にバックアップしています。
スキルアップ支援制度・研修制度も充実 当社では従業員に安心して生活してもらえるよう、財産形成のための財形貯蓄制度、退職金制度、確定拠出型年金制度等を整備し、住宅支援としては社宅や寮を完備しております。
また、グランドゴルフ大会やハイキング等のレクリエーションを開催して従業員同士の親睦を深める機会を設けています。更に、従業員のワークライフバランスにも配慮しております。
例えば入社10年目・20年目・30年目の従業員を対象に、5~10日間のリフレッシュ休暇を付与したり、旅行券等をプレゼントする制度がありますが、制度の利用率も高く、喜んで利用してもらっています。
社員の家族も参加するウォーキングイベントの様子
行事に積極的に参加、地域とともに歩む工場
- 地域貢献活動についてはどのように取り組んでおられますか。
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当社は「地域社会との関係強化」を方針として掲げていますが、その施策の一つとして、毎年7月に「工場夏まつり」を開催し、地域の皆さんに開放しています。
また、江津市内で最大の祭りである「江の川祭」が毎年8月に開催されますが、そのイベントの一つである「江津市音頭パレード」に当社も地域貢献活動として毎年参加しております。
その他、市内の養護学校で開催される学園祭行事にも参加させていただいております。また、当社敷地内にあるグランドゴルフ場を開放させていただいており、天気の良い日にはゴルフを楽しまれる地元の皆さんの姿も見られます。
その他、当社の敷地周辺や海岸の清掃を実施するなど、一つでも多く地域に貢献出来るよう、活動を続けております。
地域住民も自由に参加できる夏まつりの様子
新設備の建設も!成長分野を牽引する工場へ
- 今後の事業展開についてはどのような展望をお持ちでしょうか。
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電気自動車などに使われるリチウムイオン電池用材料、健康食品用の食品添加物など、成長分野を支える製品の製造工場として、今後も確固たる地位を築いてまいります。そのための設備投資も行われており、現在も新設備の建設を進めているところです。
電気自動車のバッテリー材料は今後の成長分野
島根をもっと元気にしたい
- 最後に、島根県民や他の事業者の皆さまへメッセージをお願いします。
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当工場は、前身の会社を含め通算で約70年の間、島根県江津市の地に根付いて操業を継続してきました。ここ最近の製紙業は、紙パルプ事業が厳しい状況となっていますが、江津工場は生活関連事業の製品に特化しておりますので、日本製紙全事業の中でも成長分野として期待されている製品を生産している工場です。
よく江津市民の方に「日本製紙の赤と白の煙突を見ると、ああ、江津に帰ってきたなあ、と思う」と言われるほど、当工場の大きな紅白の煙突は街のランドマークにもなっています。そのような形で地域の方に慣れ親しんでいただいていることを、大変嬉しく思います。
今後も地域との共生を意識しながら、安全や環境に配慮しながら安定操業を継続していきたいと考えております。一緒に島根県をもっともっと元気にしていきましょう。
企業情報とお問い合わせ先
- 企業名
- 日本製紙株式会社
- -江津工場-
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- 所在地
- 〒695-0011 島根県江津市江津町1280
- -本社-
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- 所在地
- 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6
(御茶ノ水ソラシティ)
- 連絡先
- TEL:03-6665-1111(本社)
FAX:03-6665-0300(本社)