立地企業インタビュー

立地企業インタビュー

トップページ立地企業インタビュー株式会社ダイハツメタル

株式会社ダイハツメタル

蓮井さん・池田さん出雲工場 工場長 蓮井良信氏(右)・
工務部部長 池田浩氏(左)

日本で最も歴史の長い自動車メーカーであるダイハツ工業株式会社のグループ会社として誕生した株式会社ダイハツメタル。1967年創業以来、鋳鉄・アルミ鋳造等の部門としてグループの重要な役割を担ってきました。
出雲工場は、全国に3か所ある生産拠点の一つとして、鋳鉄・鋳物分野を任されています。

出雲工場の蓮井工場長・池田工務部長のお二人に、島根県へ立地することになった経緯や事業を継続していくうえで大切にされていることなどをお伺いしました。

1.御社の事業内容や製造されているものについてお聞かせください。

主に自動車や船舶の部品を製造

ダイハツメタルイメージ安全に関わる重要な部品を製造

当社はダイハツグループの一員として鋳鉄、アルミ鋳造素形材部門を担い、自動車産業や船舶産業を事業の柱としています。自動車部品、船舶部品、油圧部品などを主に鋳造しており、出雲工場では鋳鉄鋳物の製造を担っています。

自動車の基本性能である「走る・曲がる、止まる」を支えるのが、エンジン部品や足回り部品を中心とした鋳造製品です。私たちがつくるものは人の安全に直結するものだという強い責任を持ち、安全で品質の高い製品を生産しています。

2.社内での出雲工場の位置づけは?

鋳物分野を担う重要な位置づけ

工場出雲工場内部の様子

当社における鋳鉄鋳物の分野は、その100%を出雲工場が担っています。売上も全社売上の6割を占めており、出雲工場は当社の主力工場という位置づけです。ダイハツ工業株式会社の中の鋳物分野をすべて任されているという自負を持って日々業務に励んでいます。

出雲工場が製造しているもののうち6~7割は自動車部品です。例えば、ディスクブレーキのディスク、ドラムブレーキのドラム、エンジンのフライホイールなどが主に製造している部品です。また、船舶用ディーゼルエンジンなどの大型部品も私たちの事業の一つの柱となっています。

3.島根県に立地された経緯やきっかけについてお聞かせください。

51年前にダイハツ工業株式会社が分社化したのがきっかけ

ダイハツメタル出雲工場ダイハツメタル出雲工場

51年前、ダイハツ工業株式会社がディーゼル部門を独立させるという話があり、そこからダイハツディーゼル株式会社が誕生しました。その際に、ダイハツディーゼル株式会社の鋳物部門も独立させることになり、ダイハツ工業株式会社とダイハツディーゼル株式会社の共同出資で話が進んでいました。

当時、島根県や出雲市の企業立地活動が活発化しており、当社に対しても積極的なお声がけをいただいていたと聞いております。ちょうど当社も工場用地を探していたので、そのような熱意にお応えする形で出雲市に立地する運びとなりました。
また、当時のダイハツ工業株式会社の社長が島根県出身だったことも、一つのご縁だったのかもしれません。

山陰の土地は砂の質も良かった

また、この山陰の土地では鋳物の製造には欠かせない良質な砂が多く採れるという点も、立地のポイントの一つだったと聞いています。
鋳物を作るには砂が不可欠です。どこの砂でもよいわけではなく、鋳物に適した良質な砂が山陰地区には豊富にあるということが決め手の一つとなったようです。

4.島根県に立地されて良かったと思われる点をお聞かせください。

人が良いところが魅力

インタビューの様子良い人材が多いと語るお二人

まじめで素直、勤勉な人材に多く出会うことができ、採用することができたことは、島根県に立地して非常に良かった点だと思っています。
当社の社員は島根県出身の割合が多いのですが、同じ地域出身の人たちでチーム構成されていることもあり、みんなで一緒に頑張ろうという仲間意識が特に強いように感じられます。

県や市からのサポートが手厚い

また、島根県や出雲市からの補助金などの様々な支援を受けることができたことも大きいです。日頃から本当にお世話になっており、きめ細かいサポートがありがたいです。もし本社のある関西圏に立地していたら、ここまでの手厚いサポートは受けられなかったかもしれません。

また、自然災害が少ないというのも非常に重要なメリットです。BCPという観点から考えても、島根県は安定して事業ができる場所なのではないでしょうか。

5.逆に島根県のデメリットと感じられていることをお聞かせください。

物流面と関西との行き来に不便あり

物流イメージ画像交通面でさらに便利になると良い

交通の便の問題は多少あり、特に関西から来る社員などには移動の面で苦労をかけてしまっていると感じています。
物流についても、出雲工場で使用する材料は関西や九州などの車両工場から持ってくるため、近隣にある工場と比べるとこの距離感はデメリットと思います。

6.島根県で事業をしていくうえでの課題は何ですか?

人材確保に苦戦中

ダイハツメタル従業員人材確保の努力を継続

島根県の労働者数は年々減ってきており、当社も人材の確保には苦戦しています。この点は島根県や出雲市からの支援を期待しているところでもあります。

当社では外国人の方が多く働いていますが、この外国人人材をどう活用するかも大きなポイントになってくると思っています。現在、外国人従業員は約100名程度(日系ブラジル人やベトナム人)います。皆まじめで礼儀正しく、懸命に働いてくれているので、できるだけ早く仕事が身につくように教育やサポートを工夫できればと考えています。
その一環として、まだスキルがない人でもできるように作業を細分化するという取り組みも行っています。一人ひとりがきちんと一人分の仕事をこなせるように、やり方を少しずつ変えながら工夫しているところです。

島根県は、日本人も外国人も非常に良い人材に出会える土地ではありますが、人材獲得のための努力は今後も続けていかなければならないと思っています。

7.採用にあたって、御社の求める人物像についてお聞かせください。

自分で考え、想いを具体化できる人

2017年度入社式本社で毎年開催される入社式

・明るく元気で前向きな人
・ものづくりの好きな人
・自分で考え、工夫のできる人
です。

特に大切なのは「自分で考え、工夫のできる人」。人に言われたことを100%守ってやるというのは現場において大事なことですが、それにプラスアルファとして、自分で考える、自分の意見が言える、自分の想いを具体化できるという能力がこれからは大切になってくるのではないでしょうか。

8.島根県の人材の特徴として感じられていることはありますか?

まじめで勤勉な人材が多い

工場作業イメージまじめで粘り強い社員が多い

私たちは自動車部品という人の安全に直結するものを製造しているので、品質は最優先の課題です。当社にはまじめにコツコツと粘り強く、あきらめることなく仕事に取り組んでくれる社員が多く、品質の維持・向上には非常にふさわしい、島根県の県民性の良い面を感じています。
ただ一方で、もう少し自分の思ったことや感じたことを言葉にしてほしいと思う面もあります。

9.人材育成に関する考え方や取り組みについてお聞かせください。

社員教育・育成方針の工夫

教育方針教育方針にも工夫を

鋳物製造の現場では、作業をしながら長い年月をかけて一人前の職人になっていくというのが一般的なイメージですが、このイメージそのものをどうにか変えていけないかと模索しています。

たとえば、一人前になるのに10年かかっていたものを5年にする、配属された現場や教えてくれる先輩によって技術レベルに差が出ることを防ぐ、といったことを実現させるための様々な取り組みを行っているところです。
鋳物に関する知識や品質向上について学べる道場を作ったり、入社時の教育の足並みを揃えるような仕組みを作ったり…。また、新入社員だけではなく、若手社員や中堅社員がマイスターから指導を受けて、技能のレベルアップを目指すなど、全員が次のステップに早く上がれるような活動にも社内で取り組んでいます。

こういった「教育の仕組みづくり」をここ2~3年で行ってきており、今後もそれをさらに拡大していこうと考えています。やはりせっかく入社してくれた社員を大事に育てるということを一番に考えなければ、これからの会社の発展はありえないと思っていますから。

10.社員間の交流や福利厚生などへの取り組みついてお聞かせください。

社内行事で社員同士の交流も

ビアパーティー家族も一緒に参加するビアパーティー

以前はグランドがありスポーツ等のクラブ活動もたくさんあったのですが、生産量の飛躍的な増加から工場敷地に変わり、活動がなくなってしまったのが少し寂しいところです。

ですが、現在も年間を通して様々なイベントを行っており、社員同士の交流の機会も多くあります。
ボウリング大会やビアパーティーをしたり、年1回本社で行われるスポーツ大会に出雲工場からも参加したりもしています。社員の家族も一緒になって行うものもあるのでにぎやかで楽しいですよ。

11.地域貢献活動の内容や方針や取り組み状況などについてお聞かせください。

地域の皆様に感謝して、活動の幅を広げていく

神西湖清掃活動神西湖清掃活動


障がい者バドミントン大会のメダル障がい者バドミントン大会のメダル

毎年、神西湖の清掃活動や地域の祭りなど、地域の行事に参加しています。地域の皆様に支えられていることに感謝して、地域貢献の幅をこれからも広げていきたいと思っています。

また最近では、昨年12月に、障がい者のバドミントン大会の表彰メダルを当社で作りました。ダイハツ工業株式会社は以前から日本のバドミントンのスポンサーをしており、大会なども開催しているのですが、メダルも自分たちで作ろうというダイハツ工業株式会社の社長の発案に私たちが手を挙げた形です。
小さな文字を入れる加工には技術がいるのですが、今回は3Dプリンタを活用した型を使って作りました。こういったところでも多くの方の役に立てると思うと嬉しいですね。

災害時の対応にも意識を向ける

また、大規模災害などが起こった際は、当社が備蓄している水や食料の供給を行う準備があります。
近隣の方々の役に立てればと思い、災害時に、必要な場合は工場を開放したり社屋を活用していただいたりできるよう備えています。

12.今後の事業展開、展望についてお聞かせください。

事業拡張以上に人材の確保・育成、働き方の改善に注力する

ダイハツメタル工場内画像ものづくりの奥深さを知ってもらいたい

当然、今後も事業が継続できるように頑張らないといけませんが、そのための基盤として人材の確保・育成に力を入れる必要があるというのが今の実情だと思っています。

人材確保について特に取り組みを強化しているのが、地域へのPRです。その一つとして、一昨年から学生インターシップの受け入れに積極的に手を挙げています。社員と一緒になって課題について考えたり、実際に製造の現場を体験したりするプログラムで、学生さんには企業で働くことの感覚やものづくりのおもしろさに気づいてもらえればと思っています。

また、企業が集まるイベント(ものづくりフェア、コマ大戦など)にも積極的に参加し、同業者との情報交換や交流を図っています。 人材確保のチャンスとして、まずは株式会社ダイハツメタルの存在を多くの人に知ってもらおうと頑張っています。

鋳造と機械加工の一貫生産で付加価値向上

一方で事業においては、今までは鋳造品をつくって納めるという比率が高かったのですが、ここ数年は機械加工まで自分たちで行い、部品を完成品として納めるということを行っています。これが必ず大きな付加価値となります。今後もそういうものを増やしていけるように取り組みを進めています。

また、こういった事業拡大のため、機械工場の増設も予定しています(2019年12月完成予定)。同時に内部設備の老朽化も課題としてあるため、数年計画でリフレッシュしていくなど、新たな動きも進めていければと思っています。

13.島根県民や他の事業者へメッセージなどがあればお聞かせください。

働きやすくて安定感のある会社づくりで島根県に貢献したい

地域に貢献できるような会社に"地域に貢献できるような会社に

鋳物製造の仕事は「きつい・汚い・危険」という「3K」の代表格で、作業場の環境は正直良いとは言えません。今後この地で事業を続けるなら、環境という面は非常に大事なものだと思っています。

少し大げさですが、将来的にはこの3Kのイメージを払拭するような工場にしていきたいです。鋳物工場は昔で言う「男性の職場」かもしれませんが、今は男性でももっと良い環境にしなければいけないですし、さらに女性でも働けるような鋳物工場にしたいなと。そのために、体を張ってやる仕事を少しでも機械化したり、短時間で一人前の仕事ができる仕組みを作ったりということを進めているところです。

私たちは、株式会社ダイハツメタルを、この地でこれからも安定して操業していけるような「この地域にこの会社があってよかった」「ここで働けてよかった」と言われる会社にしていきたいと思っています。
また、従来のイメージの鋳物会社から誰でも働けるような鋳物会社にしていきたい、そして、雇用を通じて島根県や県民に貢献したいと、「次の50年」を合言葉に頑張っています。

当社で「頑張りたい」という方を1人でも多く増やしたいと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

ダイハツメタル出雲工場外観

会社名:
株式会社ダイハツメタル(出雲工場)
所在地:
〒699-0822 島根県出雲市神西沖町2400番地
本社 :
〒666-0023 兵庫県川西市東久代2丁目1-13
連絡先:
TEL:0853-43-2324
FAX:0853-43-9005
URL :
http://www.d-metal.co.jp//

(平成31年取材)

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