立地企業インタビュー

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株式会社イーグリッド

代表取締役 小村 淳浩氏代表取締役 小村 淳浩氏

島根県出雲市に本社を構え、2020年11月に創業10周年を迎える株式会社イーグリッド。ソフトウェアの設計、開発、運用保守からWebマーケティングまで幅広い事業展開を行うIT企業です。昨年まで東京都品川区のオフィスと2拠点で業務を行っていましたが、2019年8月に出雲市内に新しい拠点を増設され、国内3拠点になりました。

新しい拠点である「ニアショア開発センター」でも積極的な採用活動を展開し、開設当初2、3人のメンバーでの始動から、この1年で15名以上のエンジニアが常駐する拠点に成長しています。

代表取締役の小村淳浩社長には島根県内で拠点を増設した経緯や今後の事業展望について、今年県外からのIターンで同社へ入社したエンジニアの堀貴斗さんには入社のきっかけや現在の仕事の様子などについてお話を伺いました。

1.御社の事業内容についてお聞かせください。

ソフトウェア開発とWebマーケティングの両軸で事業展開

価値あるソリューションの提供を目指して 価値あるソリューションの提供を目指して

大きく分けると2つの事業の柱があります。1つは法人様向けのソフトウェア開発事業、もう1つはWeb制作・Webマーケティング事業です。

最近ではソフトウェア開発事業の中で、お客様の課題解決、いわゆる“ソリューション”となる仕事をより強化していきたいとの考えから、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション=単純な事務作業を自動化するロボット)の開発や、DX(デジタル・トランスフォーメーション=デジタル技術を駆使して、ビジネスに変革をもたらすこと)などの領域にも力を入れています。

ソフトウェア開発にしても、Webマーケティングにしても、「ただものを作って納めるだけ」ではなく、真の意味でお客様の抱える問題を解決に導く、という目的からぶれないようにすることを常に心がけています。

2.島根県に拠点を増設された経緯についてお聞かせください。

ラボ型ニアショア開発拠点として

ニアショア開発センターで開発を行うエンジニアの皆さんニアショア開発センターで開発を行うエンジニアの皆さん

ソフトウェア開発事業の中で、4~5年ほど前からニアショア開発を行うようになりました。ニアショア開発とは、簡単に言うと都市圏の仕事を地方のエンジニアによって開発する開発形態を指します。
ここ数年は都心部でのエンジニア不足が深刻化していたせいもあって、弊社にもニアショア開発のオファーが増えてきていました。幸い島根県の行政の方々のご尽力もあって、都内では「島根県=Rubyのまち」という認識がかなり浸透しているんですよ。弊社もその恩恵を受けている部分もかなりあると思っています。

そんな中、某大手SIerさんから、会計ソフトベンダーさん案件の発注についてご相談いただきまして。この案件を引き受けるにはよりセキュリティを強化した開発拠点が必要であったことと、今後採用面を一層強化していく必要性もあったので、出雲市内にもう一つ拠点を増設しよう、という流れになりました。

3.この場所を選ばれたのはどのような理由からですか。

タイミングよく友人から物件の紹介を受けて即決

出雲市内に増設したニアショア開発センター出雲市内に増設したニアショア開発センター

私が以前から親しくさせていただいているこちらのビルのオーナーさんから、新設するテナントビル2Fにオフィススペースを作る構想があるからとお声がけいただきまして。ちょうどニアショア開発拠点の増設を検討し始めたところだったので、タイミングが良すぎてその場で契約を決めたように記憶しています。

弊社は会社設立当初から島根県内と東京都内の2拠点でやってきましたが、やはり増設するならまず島根県内で、と考えていました。そうすることで、県内のエンジニアに対して活躍できる場を増やすことができますし、慢性的なエンジニア不足に陥っている首都圏のクライアントの課題解決にもつながるので、双方にメリットがあります。

さらに都内にも拠点があるので、ソフトウェア開発の上流工程で必要となるヒアリングや要件定義の段階では、必要に応じてクライアントと対面で綿密な打ち合わせを行うことができるのも良い点ですね。

4.県内でもITエンジニアの採用は年々厳しくなっていると聞きますが、採用活動の方はいかがでしょうか。

若手メンバーが主体的に活躍する「採用プロジェクト」により好調

若手メンバー主体の採用プロジェクトの皆さん若手メンバー主体の採用プロジェクトの皆さん

確かに5~6年くらい前までは割と弊社の採用状況も厳しかったのですが、毎年コツコツと採用活動を展開していく中で、徐々に県内での認知度も向上してきたように感じています。ひとつの転機として、社内の有志によって立ち上げられた「採用プロジェクト」の成功があります。

それまで採用活動は一部の管理職を中心にやっていましたが、ここ数年で若手メンバーが主体的に活動する組織に変わってきました。今では入社1年目、2年目のメンバーも自ら手を挙げて参画するようになり、活気も出ましたし、就職フェアなどの場でもブースがかなり賑わうようになりましたね。
おそらく、学生から見ても年齢が近い先輩の方が、自分が働くイメージが湧きやすかったり、話が聞きやすかったりするからではないでしょうか。

彼らの活躍によって、ここ最近は多くの応募者が集まるようになりました。今後も採用プロジェクトのメンバーを中心に良い人材の確保に注力していきます。

5.ニアショア開発センターの立ち上げから1年が経過しますが、島根県内に増設されたことでどのような変化がありましたか。

コロナ禍で県内拠点のメリットを強く実感

「密」になりにくい島根という恵まれた環境「密」になりにくい島根という恵まれた環境

今年の新型コロナウィルス感染拡大を受けて、県内拠点の強みをまさに実感しているところです。現に弊社の東京オフィスは今もリモートワークが続いていますが、やはりリモートだけでは難しい仕事も少なからずあります。

特に若手エンジニアの育成面などでは、オンラインだけでは厳しい面もあって。不可能ではないですが、プロジェクトリーダーやマネージャーの負荷が相当増えます。そういう意味では、満員電車やランチのための行列が存在しない島根であれば、コロナ前とほぼ変わらない仕事の進め方でやっていけます。

「コロナ禍でもコロナ前と同じように仕事が進められている」今のこの状況こそが、島根に開発拠点を増やしたことの大きなメリットであると感じています。

6.逆に島根県でソフトウェア開発をすることのデメリットはありますか。

上流工程の経験を積むにはやや不利な状況も

今後はより一層働く場所を問わずエンジニアが活躍できる時代になる、と語る小村社長 今後はより一層働く場所を問わずエンジニアが活躍できる時代になる、と語る小村社長

やはり首都圏のエンジニアに比べると、開発の上流工程を経験する機会が少なくなってしまう、ということはあると思います。都内に企業の数が集中していることもあり、今ビジネスの世界でどんなことが起こっているのか、どんな課題があるのか、といった情報をいち早く捉えて関わっていくことのできるチャンスは、どうしても首都圏で仕事している方が多くなるでしょうね。

システム開発の上流工程ではそのあたりの経験値がものを言うので、ずっと地方だけでエンジニアを続けていると、リーダー、マネージャーとしてのスキルアップの機会が相対的に少なくなってしまうのはデメリットかもしれません。

ただ、最近はリモートワークの浸透もあり、距離的なハンディを感じることなくオンライン商談やミーティングができる環境に変わりつつありますので、地方のエンジニアが上流工程のスキルを身につけられるチャンスは広がっていくでしょう。

7.採用活動を行うにあたり、求める人材像をお聞かせください。

「誠実な人」「学び続けることができる人」「他者に助けを求めることができる人」「挑戦できる人」

「挑戦する」はイーグリッド全社共通のキーワード「挑戦する」はイーグリッド全社共通のキーワード

「誠実」については、先にいるお客様のことを思って仕事ができる人の方が良いものづくりができると感じるからです。「学び続けることができる」というのは、学ぶ意識が強い人が集まることで、会社全体にいい影響が生まれることを実感しているためです。

「他者に助けを求めることができる」というのは、一人でできることには限界があるので、仲間と助け合って仕事を進めていける力が重要だから。そして「挑戦できる」というのは、言葉通りですが、変化を恐れずに好奇心を持って新しい道を切り拓いていく精神を常に持ち続けて欲しいという意味です。

8.人材育成に関する取り組みや考え方についてお聞かせください。

学ぶ意欲が高い人ほど多くの学ぶ機会を得られる

若手からベテランまで、個人の主体性を重視若手からベテランまで、個人の主体性を重視

弊社ではあまり型にはまった研修プログラム、のようなものは用意していません。周囲が一方的に何かを与えたとしても、本人の主体性がなければ人は育たないと思っているので。

ですから、学びたいと手を挙げる人にはどんどん学ぶ機会を与えたいと考えています。早く手を挙げた方が得をしますので、ぜひ意欲的に学んで欲しいですね。

あとは、個人の現在のスキルを100だとすると、常に100より少し多めの仕事を与えるべきだと思っています。負荷をかけた方が人は成長します。今できないことに敢えて挑戦することで成長できる、というのが私の持論です。

9.今年Iターンで中途入社した堀さんに伺います。入社のきっかけは?

自分のやりたいことと会社の目指す方向性がぴったり合致

堀さん 自分のやりたいことができる会社だと確信した、と語る堀さん

前職は愛知県で自動車関係の工場勤務でしたが、自分のやりたいこととの相違を感じて転職を考えました。もともとプログラミングに興味があったので、まずは独学でオンラインスクールで学び始めて、転職サポートを受ける中でイーグリッドを紹介されて。

前職は従業員2,000人規模の大企業でしたので、ITベンチャーという環境にもとても興味が湧きましたし、「IT×Xで世の中の課題を解決する」という企業理念に共感を覚えました。自分が本当にやりたかったことはこれだ!と。

島根県には特に地縁もないのですが、島根の会社に就職することへの迷いはなかったですね。Webサイトに載っていた社員さんたちの写真が見るからに仲が良さそうで、ここで働きたいと思って入社を決めました。

10.「挑戦」をテーマに掲げるイーグリッドで、何か具体的に挑戦したことはありますか?

Rubyを使った社内システム構築にチャレンジ

堀さん社内システム開発を自ら提案して構築にチャレンジ

はい、入社後自分から提案して、社内の備品管理システムをRubyで構築しました。私はエンジニアとしての実務経験がない中で入社したので、早くスキルを身に着けたい思いが強く、やってみたいと上司に相談したところ、そういうのはどんどんやったらいいよとすぐ承諾してもらえて。

先輩方に色々と助けていただきながら、なんとか形になってきました。間もなく社内運用をスタートさせる予定です。

11.小村社長に伺います。堀さんを採用された決め手は?

見知らぬ土地での新たな挑戦を厭わない姿勢に可能性を感じた

代表取締役小村社長と堀さん「成長への意欲が強い若者は伸びしろが大きい」と語る
小村社長

誠実ですし、よく勉強しそうな人だなと。あとは見るからに爽やかな好青年で。
弊社では必ずしも実務経験がなくても、素直で勉強する姿勢を持っている人であれば採用することがあります。彼のようなタイプは吸収も早いですし、まだまだ若いので、いくらでも成長できるような気がします。

愛知県から知らない土地にやってきて未経験の職種に就くことに全く抵抗を示さなかったので、自分を成長させる意欲が強い人だと確信し、採用に至りました。

12.今後の事業展開、展望についてお聞かせください。

自社サービスを立ち上げ軌道に乗せたい

島根メンバーの皆さん多様な人材が活躍する島根発IT企業を目指して

まずは自社サービスの立ち上げと展開ですね。これは長年課題にしていますが、一般的に見ても1,000のITサービスを立ち上げて、そのうちの1つが軌道に乗るか乗らないか、くらいの厳しい世界でもあるので、うまくいくまで挑戦し続けるしかないと思っています。
これからもお客様の課題解決をミッションとして取り組むと同時に、我々自身が率先して社会課題を見つけて解決していくような製品づくりも必要だと考えています。

そして、いずれはこの会社を全国各地のエンジニアが集積する場にしたい、という想いがあります。それを実現していくための第一歩が、このニアショア開発センターの増設でもありました。

また、弊社は「多様性」を大事にしたいと考えているので、エンジニアだけでなく、様々な専門性を持つ人たち・・・ディレクター、デザイナー、マーケターなどが集まる組織を目指しています。これからも採用活動を強化し、多様なスキルを持つ組織として成長を続けることで、企業理念として掲げる「IT×Xによりお客様の課題を解決し、ビジネスを成功に導くことでお客様と社員の未来を創る」ということを実現させていきます。

13.県内に進出または増設される企業さんへメッセージをお願いします。

地方拠点の立地先として理想的な島根で更なる飛躍を

コロナ禍によって分散拠点の必要性をより実感されている企業さんも多いと思いますが、島根県はまさに「密」の反対で「疎」な場所であり、比較的地震も少ない理想的な土地と言えます。豊かな自然があり、通勤環境にも恵まれているので、仕事するにもなんと贅沢な環境かと、私自身がよく思います。

最近特に思うのが、本社機能を島根県に移転する企業が増えていくといいな、ということです。パソナさんが淡路島に本社機能を移転すると発表されましたが、そういう事例が島根県内でも増えていけば、地域活性化にもつながりますし、理想的ですね。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

イーグリッド外観写真

会社名:
株式会社イーグリッド ニアショア開発センター
所在地:
〒693-0022 島根県出雲市上塩冶町2664番地3 マルエフガーデン2F
本社 :
〒693-0057 島根県出雲市常松町526
連絡先:
TEL:0853-20-2820(本社)
FAX:0853-31-9370(本社)
URL :
https://www.e-grid.co.jp/

(2020年9月取材)

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