立地企業インタビュー

立地企業インタビュー

トップページ立地企業インタビュー石見ワイナリー株式会社

石見ワイナリー株式会社

淺田博昭 代表取締役社長淺田博昭 代表取締役社長

2018年4月、大山隠岐国立公園三瓶山東の原にオープンした石見ワイナリー。スキー場の跡地を利用して開発されたこの施設は、まさに絶景と呼ぶにふさわしい美しい自然景観と、こだわりの原料と製法で作られたオリジナルブランドのワインが楽しめる新しい石見の観光スポットとして、今注目を集めています。

ワイナリーを運営する石見ワイナリー株式会社は、JR広島駅前に本社を構える設備工事会社、山陽空調工業株式会社のグループ会社でもあります。過疎化、高齢化の進む石見地区に観光客を呼び寄せると同時に新たな雇用を創出することで、地域の発展と活性化を図っている同社は、常に未来を見据えて新しいことに挑戦し続けています。

代表取締役の淺田社長、取締役総支配人の杦村一弘さんのお二人に、立地に至った経緯や今後の事業構想などについてお話を伺いました。

1.御社の事業内容や製造されているものについてお聞かせください。

ワイン用葡萄の生産から醸造、販売まで

レストラン写真絶景を楽しみながら食事ができる「石見の杜 星空のレストラン」

大山隠岐国立公園三瓶山にある自社農園にてワイン醸造用の葡萄を生産し、それを自社工場で醸造してワインを造っています。造ったワインをワイナリーの店頭で販売するほか、昨年10月にオープンしました野外型フードコート「石見の杜 星空のレストラン」の運営も行っています。

国立公園の中にあるワイナリーというのは世界でも珍しく、風光明媚な景色を眺めながらゆったりワインと食事を楽しんだり、気に入ったワインやおつまみをお土産にお買い求めいただいたりと、地元の方にも観光客の方にも喜んでいただけるスポットとなっております。

2.島根県に進出された経緯についてお聞かせください。

先代の出身地であり、恩義を感じる土地であった

テープカット2018年4月オープン時の記念式典の様子

弊社は広島市内に本社を構える山陽空調工業株式会社のグループ会社になります。島根県は先代の社長の出身県でもあり、山陽空調工業の島根支店が大田市にあることもあって、先代自身がいつか島根にお世話になった恩返しがしたい、という思いをとても強く持っておりました。そこで島根県の抱える様々な課題の解決に少しでも貢献できたら、との思いから、生産・製造・販売の一連の流れによって観光誘客にもつながり、地域に貢献できるワイナリーの創設を決めました。

私自身、島根県の企業立地アドバイザーを拝命していまして、その会議の際に、1次産業、2次産業というカテゴリに縛られずに何か地域おこしにつながることをやって欲しい、という強いご要望をいただきました。その時頭に浮かんだのがワイナリーの運営です。

実は私、以前青森県でワイナリーの立ち上げから経営を軌道に乗せるまでのところに携わった経験がありましてね。当時の共同経営者たちと共に、それこそ島根と同じく過疎化や若者離れが深刻な土地に観光客を呼び寄せて、賞の取れるワインを製造するワイナリーにまで育て上げました。その時の経験を活かせると思い、石見の土地でのワイナリー立ち上げに踏み切りました。

3.実際に島根県に立地されて良かったと思われる点をお聞かせください。

抜群の立地環境で、人材確保も順調

取締役総支配人 杦村一弘 氏人材採用について語る杦村総支配人

今回立地しました大山隠岐国立公園三瓶山には手つかずの自然が多く残されていて、素晴らしい景観の中にワイナリーを建設することができました。気候も葡萄栽培に適していますし、三瓶山自体がもともと観光地ですので、一定の集客が見込めます。

また、タイミングよく環境省の「国立公園満喫プロジェクト」実施年度にも重なったため、地域環境を含めた周辺整備がうまく進められたことも良かった点です。

心配していた人材採用面も順調に進み、まじめで勤勉な良い人材を採用することができました。

4.逆に島根県のデメリットと感じられていることをお聞かせください。

長期的な人材確保が課題となる可能性も

スタッフさんの生産風景(葡萄園現時点では人材も充足、しかし将来には不安も

過疎化、高齢化がかなり進んでいることはやはり事実です。一旦人員は充足していますが、事業拡大を図っていくうえで、将来的に人材不足に悩まされるであろうという懸念は正直あります。

あとは廃屋になった民家が景観を損ねる要因になっていたり、維持管理をすればとても良い観光資源になりそうなものがうまく活かされていないように感じる部分がありますので、そのあたりは改善を期待したいです。

5.採用にあたって、御社の求める人物像についてお聞かせください。

島根を愛し、自然を愛せる人材を迎えたい

スタッフさんの接客風景石見の魅力を発信できる、郷土愛あふれる人材を

一番大切なのは、郷土愛を持っている人材であることですね。といっても島根出身である必要はなく、島根が好きな人、三瓶山の自然を愛する人であれば、出身地は問いません。この場所で働くことに誇りを持って、その魅力を全国(海外も)に向けて発信する気概を持って欲しいです。

業務スキルは入社後身に着けていただくことができますが、郷土愛だけはしっかりと持っている方に入社していただきたい。
それは、弊社のすべての事業活動は、石見地域の魅力を伝え、一人でも多くの方に石見に来ていただくことと、そこで生活する人々を増やすことを念頭に展開しているためです。

6.島根県の人材の特徴として感じられていることはありますか。

まじめで粘り強い一方、積極性に欠ける一面も

スタッフさんの製造風景まじめで粘り強い島根県の人材

現在スタッフの7割は島根県出身者ですが、残り3割はIターン者です。
島根出身の方はまじめで粘り強いと感じますが、一方で少し自己主張が少なめで、思いや考えを主張する積極性に欠ける面がありますかね。もう少しチャレンジする意欲を持ってもらえるともっといいかなと思っています。

7.人材育成に関する考え方や取組についてお聞かせください。

幅広い業務を経験しながらスキルアップできる環境

研修実施風景研修参加による積極的なスキルアップを支援

当ワイナリーでは、葡萄の生産・ワインの醸造・店頭販売・レストランの給仕、あらゆる職種の業務をすべて経験してもらっています。生産だけ、接客だけ、という働き方ではなく、少ない人数で柔軟に対応できるよう、日によって仕事の場所を変えています。ですから、ひとつの会社で幅広い業務を経験できますし、生産や醸造に携わっているからこそ、接客販売の場でもその経験が活きてきます。

また、パート・アルバイトの方に対しては、勤務地が市街中心部から離れているため、交通の不便さを考慮して、時給を高めに設定しております。

育成面では、年2回面談を実施し、本人の希望や意見に耳を傾ける場を設けています。セミナー等積極的に参加し、資格取得を目指す方には取得にかかる費用を会社が支援するようにしています。
また、同業他社への体験研修の機会を設け、普段の業務だけでは得られない気づきを得る貴重な機会となっています。

8.地域貢献活動の内容や方針など取組状況をお聞かせください。

地域の祭り・イベント・会合には積極的に参加

雪あかり_DSC_0361地元のキャンドルナイトイベントにも参加

「さんべ志学の雪あかり」というイベントが例年あるのですが、毎年参加させてもらっています。その他盆踊りや神輿などにも弊社社員が参加させていただいたりして、地元の方と積極的に交流を図っています。

東の原全体の美化活動も弊社が責任を持って行っています。やはり我々の事業は地域の方のご理解とご協力の上に成り立っていますので、できるだけ環境を良くすることや、日ごろから意見交換をしながらよりよい地域づくりを一緒に進めていくことを心がけています。

9.今後の事業展開、展望についてお聞かせください。

滞在循環型のリゾートエリア構想が着々と進行中

建設中ホテルのパース2021年オープン予定の「石見ワイナリーホテル 大和(仮称)」(美郷町)

弊社の葡萄畑をオーナー制にして、例えば都市圏にお住まいの方でも自分の葡萄畑を所有していただきながら、年に数回生育状況を見に来たり、一緒に収穫したり、そういった形で関わっていただくことを考えています。
もちろん、オーナーさんの畑で獲れた葡萄もワインにして販売することで、収益を還元いたします。都会にいながら島根の山に自分の葡萄畑を所有できるというこの取り組みは、近々始動する見込みです。

また、石見地区の宿泊施設の課題として、観光客を長く滞在させることができていないということがありました。理由としては、自然景観や世界遺産(石見銀山)などの豊かな観光資源に恵まれながらも、それらすべてを十分に活かした魅力的な宿泊プラン、レジャープランが提供できていなかった、という点が挙げられると思います。

そこで弊社は、石見地区の市町村や地域の皆さまと連携しつつ、石見の魅力がさらに増すような環境整備を進めていくことを決定し、既にスタートしております。
具体的には「滞在型石見リゾートエリア」を開発していく計画で、まずは手始めに邑智郡美郷町での温泉宿泊施設の建設が決定し、着工しております。

地元食材を活かした美食と美味しいワインを堪能できるレストランと、美肌温泉と、三瓶の美しい自然と、石見銀山などの観光スポット、それらすべてをゆったりと楽しみながら家族で長期滞在できる温泉リゾートを目指しています。

この計画によって、一人でも多くの方に石見地区へ足を運んでいただき、石見の素晴らしさを知っていただく機会になればと願っています。
来年オープン予定ですので、ぜひご期待ください。

10.島根県民や他の事業者へメッセージなどあればお聞かせください。

自慢のワインをぜひご賞味ください!

ワイン商品を並べた写真「媚びないワイン造り」がポリシー

おかげさまで開業以来順調に来客数が伸びており、今年度はまだ2年目ですが、このままいくと、昨年度を大幅に上回る来客数、売上金額となる見込みです。
毎週広島から弊社のワインをお求めにいらっしゃるリピーターのお客様もおられて、大変嬉しい限りです。

当ワイナリーのワインは、砂糖を加えて甘くすることをせず、あくまで基本に忠実に作った美味しいワインです。
ソムリエの方にも高く評価していただき、広島市内の飲食店で置いていただいているお店も増えてきました。
本当に良いものを作りたいので、「媚びないワイン造り」を大切にしています。

大量生産はできないため本数が限られますが、徐々に安定的に供給できる体制を整えているところです。三瓶山の素晴らしい景色、私たちこだわりのワイン、どちらもご満足いただける自信があります。ぜひ一度石見ワイナリーへ足を運んでみてください。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

ワイナリー外観写真

会社名:
石見ワイナリー株式会社
所在地:
〒694-0222 島根県大田市三瓶町志学ロ1640−2
連絡先:
0854-83-9103
URL :
https://iwamiwinery.com/

(2020年1月取材)

< 立地企業インタビュートップへ戻る