立地企業インタビュー

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トップページ立地企業インタビュー日本製紙株式会社(江津工場)

日本製紙株式会社(江津工場)

江津工場工場長 横町 彰一氏江津工場 工場長 横町 彰一氏

東京都千代田区に本社を構える業界内屈指の大手製紙会社・日本製紙株式会社。
中国地方最大の河川、江の川の河口に位置する同社の江津工場は、前身の会社から通算して約70年もの長きにわたり、島根県江津市内で操業し続けています。
江津市街地のどこからでも見える、紅白の高い煙突が江津工場のシンボルマーク。長年の間江津の地で、地域と共に発展を続けてきました。

江津工場の横町工場長に、全社における江津工場の特徴や、人材育成のための取り組みなどについて伺いました。

1.御社の事業内容についてお聞かせください。

木材を余すことなく「完全利用」する稀少な工場

木材チップから得られる3つの素材を完全利用木材チップから得られる3つの素材を完全利用

弊社は社名のとおり、全社的には紙製造がメインの会社ではありますが、実は江津工場では紙は全く生産していません。では何を製造しているかというと、「紙用途ではないパルプ」を製造しています。例えば、衣類に使われるレーヨンやセロハンテープなどのセルロース製品の原料ですね。どれも見た目のイメージや質感から「紙と同じ木材を原料とする製品である」ということがあまり一般的に知られていないのですが、実はいずれも木材から作られています。

ここ江津工場ではこれらのセルロース製品の原料となるパルプのほか、木材からパルプを除いた残りの成分であるリグニンを原料とする製品を製造したり、木材に含まれる糖分を栄養として酵母を培養したものを動物用の飼料に使ったりと、木材を完全利用している世界でも珍しい工場です。

通常の製紙工場では、木材加工の際にパルプを取り出すと残るリグニンは工場の燃料として利用されることがほとんどですが、当工場ではそれをさらに別の製品の製造を行っている、という点が特徴になります。北欧にはいくつかそのような工場があると聞きますが、国内では唯一ここだけです。

2.全社での江津工場の位置づけは?

日本の成長分野で必要とされる製品を生み出す重要な拠点

全社の中でも特に成長分野を担う江津工場全社の中でも特に成長分野を担う江津工場

弊社には国内に13の製造工場がありますが、江津工場はその中でも成長分野の工場として重要な拠点となっています。成長分野と言いますのは、主に生活関連製品の製造です。例えば、近い将来。自動車はすべて環境対応車に変わっていくと言われていますが、その中心となる電気自動車のリチウムイオンバッテリーに使われるカルボキシメチルセルロース(CMC)というセルロース製品も江津工場で製造しています。このあたりは間違いなく今後の成長分野と言えますね。

その他、木材由来の食品添加物の製造も江津工場で行っています。食品添加物にも様々な種類がありますが、セルロースは天然素材であり、環境に優しい原料ということで、安心・安全な添加物として国内外で需要の高い製品です。さらに日本国内で製造されていることに対する品質への信頼性も高く、今後は海外での需要もより一層高まっていくことが予想されており、こちらも成長が期待される分野です。

3.“木材を原料とする食品添加物”について、もう少し詳しく教えてください。

誰もがよく知るスーパー・コンビニ製品にも幅広く使用される

木材チップから生まれる様々なセルロース製品木材チップから生まれる様々なセルロース製品

詳しい商品名は弊社のお客様の製品になるのでお伝えできませんが、おそらく皆さんが日頃コンビニエンスストアの店頭でよく目にされているようなお菓子や飲料、パン、スイーツなどにも当社で製造したセルロースやカルボキシメチルセルロース(CMC)が使われています。

よくお菓子のパッケージの裏に原材料名が書かれているでしょう?そこにはかなりの確率で「セルロース」あるいは「CMC」と書かれているはずで、それこそが当工場の主力製品のひとつです。名前からは想像がつきにくいですが、木材チップを原料とする天然素材で、要するに食物繊維ですから、口にしても安全です。具体的には、増粘剤や安定剤として使われることが多いですね。

4.実際に島根県に立地されて良かったと思われる点をお聞かせください。

豊富な水資源と手厚い支援制度に助けられている

製紙業に欠かせない豊富な水資源を供給する江の川製紙業に欠かせない豊富な水資源を供給する江の川

弊社の製品を製造するために水は欠かせませんが、取水している江の川は、水資源が豊富で、渇水の心配がありません。
それから、行政の手厚い補助金制度のおかげで設備投資がしやすい点は助かりますね。
そして、県による江津港の浚渫(しゅんせつ=港湾・河川・運河などの底面をさらって土砂などを取り去る土木工事のこと)なども、生産活動をする上で大いに助かっています。

5.逆に島根県のデメリットと感じられていることをお聞かせください。

交通アクセスや物流アクセスの改善に期待

アクセス面の今後の改善に期待アクセス面の今後の改善に期待

公共交通機関の便があまり良くないですね。東京との往来には出雲空港を利用することが多いですが、飛行機とJRの乗り継ぎのための待ち時間が長い、という不満が出張者から聞かれます。

物流面でも、山陰道の早期全線開通に期待したいところです。浜田港からの航路の充実なども、要望として挙げさせていただいております。

6.採用にあたって、御社の求める人物像についてお聞かせください。

機械系エンジニアの採用を強化中

長く勤めてもらえる人を採用したい、と語る横町工場長 長く勤めてもらえる人を採用したい、と語る横町工場長

やはり弊社に長く勤めていただける方を採用したいですね。島根の県民性なのでしょうか、このあたりで採用を行うと、地元の産業に携われることに誇りを持って仕事されている方が多いと感じますし、そのような想いを持ってくださる方と一緒に働きたいと思っております。

現在は特に、メンテナンス部門で活躍いただける、機械系・電気系の経験者の募集を強化中です。弊社は社名が「日本製紙」なものですから、それこそ紙だけを作っている会社だと思われがちで、機械系エンジニアの採用があると知られていないことも多いようですが、現在、特に募集中です。経験者の方はぜひご応募いただきたいと思います。

7.人材育成に関する考え方や取り組みについてお聞かせください。

スキルアップ支援制度も充実

スキルアップ支援制度・研修制度も充実スキルアップ支援制度・研修制度も充実

先ほど申し上げたとおり、「長く地元で働きたい」という方を求めていますので、地域との繋がり、地元高校との繋がりを特に大切にしていますし、インターンシップの受け入れも積極的に行っています。おかげさまで、新卒採用については比較的安定的に採用ができています。

育成面については、業務上必要なスキルを着実に伸ばしていただけるよう、社内研修も充実しておりますし、資格等を会社の費用で取得できる制度もあります。また、若手従業員の「国内留学制度」があり、昼間は弊社で通常の業務を行いながら、夜間は大学に通って専門教育を受けることも可能です。もちろん、その場合にかかる学費は会社が全面的にバックアップしています。

8.福利厚生などへの取り組み内容や考え方についてお聞かせください。

ワークライフバランスの実現にも配慮

社員の家族も参加するウォーキングイベントの様子社員の家族も参加するウォーキングイベントの様子

当社では従業員に安心して生活してもらえるよう、財産形成のための財形貯蓄制度、退職金制度、確定拠出型年金制度等を整備し、住宅支援としては社宅や寮を完備しております。
また、グランドゴルフ大会やハイキング等のレクリエーションを開催して従業員同士の親睦を深める機会を設けています。

更に、従業員のワークライフバランスにも配慮しております。
例えば入社10年目・20年目・30年目の従業員を対象に、5~10日間のリフレッシュ休暇を付与したり、旅行券等をプレゼントする制度がありますが、制度の利用率も高く、喜んで利用してもらっています。

9.地域貢献活動の内容や方針など取り組み状況をお聞かせください。

工場主催イベントには地域住民も招待

地域住民も自由に参加できる夏まつりの様子地域住民も自由に参加できる夏まつりの様子

当社は「地域社会との関係強化」を方針として掲げていますが、その施策の一つとして、毎年7月に「工場夏まつり」を開催し、地域の皆さんに開放しています。
また、江津市内で最大の祭りである「江の川祭」が毎年8月に開催されますが、そのイベントの一つである「江津市音頭パレード」に当社も地域貢献活動として毎年参加しております。
その他、市内の養護学校で開催される学園祭行事にも参加させていただいております。

また、当社敷地内にあるグランドゴルフ場を開放させていただいており、天気の良い日にはゴルフを楽しまれる地元の皆さんの姿も見られます。
その他、当社の敷地周辺や海岸の清掃を実施するなど、一つでも多く地域に貢献出来るよう、活動を続けております。

10.今後の事業展開、展望についてお聞かせください。

成長分野の製品を生み出す工場として製紙業界を牽引したい

電気自動車のバッテリー材料は今後の成長分野電気自動車のバッテリー材料は今後の成長分野

電気自動車などに使われるリチウムイオン電池用材料、健康食品用の食品添加物など、成長分野を支える製品の製造工場として、今後もますます確固たる地位を築いてまいります。
そのための設備投資も行われており、現在も新設備の建設を進めているところです。

11.島根県民や他の事業者メッセージなどあればお聞かせください。

島根をもっと元気にしたい

当工場は、前身の会社を含め通算で約70年の間、島根県江津市の地に根付いて操業を継続してきました。ここ最近の製紙業は、紙パルプ事業が厳しい状況となっていますが、江津工場は生活関連事業の製品に特化しておりますので、日本製紙全事業の中でも成長分野として期待されている製品を生産している工場です。

よく江津市民の方に「日本製紙の赤と白の煙突を見ると、ああ、江津に帰ってきたなあ、と思う」と言われるほど、当工場の大きな紅白の煙突は街のランドマークにもなっています。そのような形で地域の方に慣れ親しんでいただいていることを、大変嬉しく思います。

今後も地域との共生を意識しながら、安全や環境に配慮しながら安定操業を継続していきたいと考えております。一緒に島根県をもっともっと元気にしていきましょう。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

日本製紙株式会社(江津工場)

会社名:
日本製紙株式会社(江津工場)
所在地:
〒695-0011 島根県江津市江津町1280
本社 :
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6(御茶ノ水ソラシティ)
連絡先:
TEL:03-6665-1111(本社)
FAX:03-6665-0300(本社)
URL :
https://www.nipponpapergroup.com/

(2021年1月取材)

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