立地企業インタビュー

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サン電子工業株式会社

代表取締役社長 礒垣匡樹氏代表取締役社長 礒垣匡樹氏

大阪府にてアルミ電解コンデンサの生産で創業したサン電子工業株式会社。同社が生産するアルミ電解コンデンサは「SunCon」ブランドを冠し、自動車や電化製品、産業機器などにおいて、国内外を問わず採用されています。特に世界に先駆けて開発・量産化に成功した『導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ』は、これからますます成長が見込める主力製品となっています。

グローバルな活躍を見せる同社代表取締役社長・礒垣匡樹氏に、島根へ立地した経緯、島根に抱く想い、企業として求める人材やその育成方法、これからの展望についてお聞きしました。

1. 御社の事業内容についてお聞かせください。

日本の技術力・開発力で世界の産業を支える

SunConブランドのアルミ電解コンデンサSunConブランドのアルミ電解コンデンサ

当社は1958(昭和33)年の創業以来、アルミ電解コンデンサ、DC-DCコンバータやAC-DC電源、OEMアセンブリ高密度実装基板等の開発から販売まで手掛けています。

特に「SunCon」としてブランド化しているアルミ電解コンデンサは、自動車や電化製品、産業機器などに使用されるもので、当社が世界で初めて開発した『導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ』は、今後ますます進んでいく自動車のEV化や自動運転化、通信事業系で言えば5G通信などの分野で世界的に市場拡大が見込まれ、将来性が望める事業のひとつとなっています。すでに国内のみならず、ドイツやアメリカ、中国をはじめとするアジア圏でも多くのお取引をさせていただいています。

多くの人の目に触れることのない製品ですが、世界中の暮らしと産業を支えるものです。

電解液陰極に導電性高分子電解質を併用することでハイブリッド陰極を形成した業界初のアルミ電解コンデンサ

2. 社内における島根の位置づけは?

設計・開発から製造までを担う重要拠点

出雲工場の内部出雲工場の内部

島根県にある出雲工場、益田工場は製造のみ行う位置づけにありましたが、新商品開発にはスピード感が必須であることから、出雲工場に製品の設計・開発の機能を持たせ、製造設備開発も強化してきました。

材料の調達・製造はもちろんのこと、顧客への製品出荷もワンストップで対応できるようになり、出雲工場の位置づけは当社内でも非常に大きなものとなりました。

3.島根県に進出された経緯について教えてください。

ご縁からスタートした島根進出

進出当時の掛合工場進出当時の掛合工場

1965(昭和40)年に島根県雲南市の掛合町に工場を設立したのがそもそものきっかけです。

その後、島根県から誘致のご縁をいただき、国道9号でつながる安来市から津和野町にかけて6工場を設立・操業させていました。現在は機能集約などを理由に出雲工場、益田工場へ統合したかたちとなっています。

4. 実際に島根県に立地されてよかったと思われる点をお聞かせください。

行政による支援体制とサポート力の強さが事業運営のメリットに

県や市のサポートに感謝を表する礒垣社長県や市のサポートに感謝を表する礒垣社長

島根県は他県にないレベルで企業の投資に対する支援体制を実現されていると思います。
業態として設備投資が必要であり、その際に助成金制度を何度も活用できるのはありがたいです。
また、人材募集の面でも手厚いサポートをいただいています。

さらに県だけでなく市からも強力なサポートをいただいており、事業運営におけるメリットがとても大きいからこそ、当社も島根県内の工場に対する投資を強く考えられたと言えます。

併せて比較的自然災害の少ない立地であることも魅力と感じています。

そして、島根の人々の真面目で一所懸命に仕事に取り組む人柄が、出雲工場や益田工場において大きな助けとなっていると実感しています。
昨今、モノづくりは自動化が世界的に進み、ブレのないクオリティで造り込むことが可能になりましたが、最終的な決め手はやはり人的要素が欠かせません。
島根の人々の人柄や気質がクオリティにしっかりと影響していると感じています。

5. 逆に島根県のデメリットと感じられていることをお聞かせください。

県西部地域へのアクセス

県西部の公共交通網が課題県西部の公共交通網が課題

山陽・近畿方面から島根へ入る道路は近年の整備によって改善されてきましたが、県内の、特に県西部への往来に関しては、公共交通機関の減便傾向もあり、非常に不便であると言わざるを得ないのが実情です。
弊社の場合、大阪が本社ということもあって、西部(益田)への出張が大変ですね。

6. 採用にあたって、御社の求める人物像についてお聞かせください。

明るく意欲的、若い世代に寄り添えるリーダー候補を採用したい

若手女性社員も現場で活躍中若手女性社員も現場で活躍中

弊社にはさまざまな配属先があります。
高校・大学いずれにおいても、それら配属先に応じた学校への求人を出しています。
企業が望む人物像としては、明るく素直であり意欲的、健康的で元気のある方が一番です。

7. 島根県の人材における特徴として感じられていることはありますか。

土地柄ゆえのどっしりゆったりした製造業にマッチした気質

出雲工場で働く社員の様子出雲工場で働く社員の様子

島根の方々はどの方においても真面目で、一所懸命に仕事に取り組む人ばかりですね。
気質としては土地柄というのもあるのかもしれませんが、どっしりとゆったりとした方々が多いと感じることもあります。
私自身が大阪出身なので、気質的に真逆ではないかと言われることもありますが、実際のところ出張でやってくると、この空気感というか流れる時間が非常に心地良いものだと感じています。

8. 人材育成に関する考え方や取り組みについてお聞かせください。人材確保にあたって、配慮・工夫されている点はどういったことですか?

さまざまなチャネルを活用した企業認知度の向上

サン電子工業のCMには社長も出演

3年前から会社の認知度を高めるため、ローカルテレビ局・ラジオ局へのCM出稿、看板掲出、学校を中心としたイベントへの参加などに取り組み、しっかりと効果が出ています。

また、県及び市町村も、数年前から県東部エリアの小中学校の生徒や保護者に対して『地元にいい会社がたくさんある』ことを知ってもらうための取り組みを進めており、その結果、地元に残って就職先を決める子どもたちが多くなってきました。
現在はこの取り組みを県西部エリアに広げるため、県に中心となって進めていただいています。

なお、島根県委託先のシーズ総合政策研究所さまに、新規採用活動、離職率低減、工場内風土改革へ向けて、益田工場の状態を分析、親身なご指導をいただいて気づきが多数得られ、改善を進めた結果、着々と成果が出ており、感謝の念が絶えません。

人材育成という面では、弊社内でもまだ模索を繰り返しているところですが、マンツーマン教育をベースにして、OJTにより未経験者でも半年ほどで戦力となっていただけるようにしています。

9. 福利厚生などへの取り組みの内容や考え方についてお聞かせください。

いい製品を作るためには心身ともに健康であることから

社員へ支給される野菜ジュース社員へ支給される野菜ジュース

弊社は4年連続で健康経営優良法人(大規模部門)の認定を受けており、社員一人ひとりの健康保持・増進を積極的に図って、安全・健康・快適な職場環境の実現を目指しています。

若い世代にありがちな野菜不足解消の一助に野菜ジュースを支給するほか、インフルエンザワクチン接種や人間ドックなどの費用を支給するといった医療面のサポートも行っています。

また、充実した家賃補助制度や育児休暇、誕生日休暇、一斉有給休暇、コロナワクチン接種日の特別休暇制度などを設定し、休暇の取りやすい環境を整備しています。

10.地域貢献活動(祭り・イベント等)の内容や方針などあればお聞かせください。

工場敷地内に公式サッカー場を併設

本格的サッカー場としてプロチームも利用本格的サッカー場としてプロチームも利用

2022年は島根県へ「企業版ふるさと納税」の寄付をさせていただきました。また益田市には企業版ふるさと納税として、2018年から3年間で計6回の寄付もさせていただき、地元サイクリング施設と関連備品、神楽の発展などに活用いただいています。

出雲市では20年以上前から地域貢献の一環で工場の敷地に、公式のサッカー場を併設しており、全面無償で島根県サッカー協会への貸出を行っています。

数年前からは『サッカー人』育成支援を行ったり、地元スポーツ少年団を集めたサッカー大会の開催を行ったりしています。

11.今後の事業展開、展望についてお聞かせください。

業界を牽引する企業として、島根から世界へ

EV化によりコンデンサの需要が拡大EV化によりコンデンサの需要が拡大

2030~2035年には国内・海外ともに新車ガソリン車の廃止による自動車業界におけるEV化が目標立てられている中、電子制御部品は増加し、弊社の生産品の需要はますます高まっていきます。さらに高信頼性・高品質はもちろんのこと、顧客からの要求も厳しくなることが考えられます。

『島根から世界へ』を念頭に置き、弊社の特徴を活かしスピードをもって、さらなる新商品開発・事業展開を進め、コンデンサ業界の一歩先を牽引する企業として、必要とされ続ける存在感のある企業を目指していきます。

12.島根県民や他の事業者へメッセージなどあればお聞かせください。

島根に立地した企業として島根活性化の一助を担いたい

地元採用を第一に進めている地元採用を第一に進めている

誘致企業として、これまで事業継続できたのは、島根県、出雲市、益田市並びに地元市民、社員さんはじめそのご家族のご理解、ご支援あってのことです。非常に感謝しております。これからも弊社としましては、恩返しの気持ちで地元採用の促進、地域貢献などにご協力させていただきながら、末永くこれからも事業拡大しようと考えております。

引き続きご支援賜りながら、島根県の皆さまとともに共存していきたいと考えております。

会社の基本情報およびお問い合わせ先

サン電子工業株式会社 出雲工場外観写真

会社名:
サン電子工業株式会社
所在地:
〒693-0043 (出雲工場)〒693-0043 島根県出雲市長浜町337-1(出雲長浜中核工業団地)
連絡先:
TEL:0853-28-0971
FAX:0853-28-0978
所在地:
〒693-0043 (益田工場)〒698-2144島根県益田市虫追町口320-54(石見臨空ファクトリーパーク内)
連絡先:
TEL:0856-28-8080
FAX:0856-28-8086
本社:
〒575-8585 大阪府四條畷市岡山東1-1-18
URL:
https://www.sunelec.co.jp/jp/

(2023年11月取材)

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